口や足や目にできる犬のメラノーマの症状ってどんな?
犬の悪性黒色腫「メラノーマ」とは?
メラノーマとは、メラニン色素を作るメラノサイトという細胞に発生する腫瘍で、黒色腫とも呼ばれますが色があるものとないものがあります。良性と悪性があり、発生する場所によって異なります。メラノーマは犬の体のあらゆる部位に発生しますが、特に口腔内に発生したものは悪性であることが多く、また足の指や目の下の部分に発生した場合も悪性の傾向が強いとされています。悪性の場合は肺や肝臓、リンパ節、副腎などに非常に速く転移します。一方、被毛が生えている皮膚に発生した場合は良性であることが多く、約85%が良性で転移することはないとされています。
症状としてはまず黒色または非色素性のしこりが発生します。形や大きさは様々で、1つだけの場合もあれば複数個が同時に発生することもあります。口腔内にメラノーマが発生した場合は、口臭や出血、顔の腫れなどが表れるほか、しこり部分の痛みのために口の片側のみで噛んだり、食欲不振になったり、過剰なよだれが発生したりします。さらに肺に転移した場合は咳や呼吸困難などの症状が出てきます。
犬の口腔がんの原因
犬の口の中からあごにかけて発生した癌を口腔癌と呼びますが、この部位に発生する癌にはメラノーマを含めていくつかの種類があり、皮膚を構成するどの細胞が癌になるかによって呼び名が変わります。
口腔の粘膜や舌に発生した場合はメラノーマ(悪性黒色腫)と呼ばれます。扁平上皮細胞に発生した癌は扁平上皮癌と呼ばれ、数週間のうちに歯肉や舌に潰瘍を引き起こし、リンパ節や肺に転移していきます。線維芽細胞に発生した癌は線維肉腫と呼ばれ、主に歯茎にしこりのような腫瘍が発生します。骨への浸潤性が強いとされていますが、転移は多くありません。
犬がこういった口腔癌を発症する原因は明確になっていませんが、口腔内の不衛生によって引き起こされる可能性が示唆されています。いずれも10歳前後の中・大型犬に多く見られる病気と言われていますが、若いうちから口の中のケアに注意することが現在のところ唯一の予防法と言えるでしょう。
犬の口腔がんの治療
犬の口腔癌の治療も、ほかの各種の悪性腫瘍と同様、外科手術・化学療法・放射線療法のいずれかになります。扁平上皮癌やメラノーマの場合、早期発見により癌が小さく転移が見られない場合は外科手術に踏み切ることが多く、比較的予後は良好です。線維肉腫の場合は骨への浸潤性が高いため、腫瘍が出来た側の顎ごと切除することもあります。
癌が進行して切除が難しい場合や、犬が高齢で体力がない場合は抗がん剤治療や放射線治療が行われます。特に扁平上皮癌は放射線療法の効果が高いとされています。
また、アメリカでは黒色腫メラノーマワクチンが開発され、2009年に承認されました。口腔内のメラノーマを切除した後にこのワクチンを投与することで再発や転移が抑えられる可能性があると言われています。日本では数カ所の病院で臨床試験が行われているようです。